江戸の残り香は、近代の灯の下で薄く燻る。けれど、名もなき愉悦の残滓を、私はなお肌で覚えている。燻りは、消えかけてこそ、鼻腔を刺す。文明の進歩ほど、私たちの嗅覚を鈍らせるものはない。
艶は、しなやかな竹のようでもある。しなやかさは、折れないための術ではない。折れないふりをすることだ。女の艶もまた、しなやかさのふりをすることで、業を隠す。隠すほど、業は、袖の下で音を立てる。
近代の街の灯は、艶を説明しすぎる。説明された艶は、もはや艶ではない。残るのは、記号の羅列だけだ。
静寂
静寂
静寂
静寂
静寂
静寂
静寂