アメデオ・モディリアーニは1884年、イタリア・リヴォルノに生まれ、パリのモンパルナスで描き続け、1920年、三十五歳で結核に斃れました。画業はわずか十数年。それでも、面を長く引き、首を細く伸ばし、眼をアーモンド形に閉じたその肖像は、一度見れば忘れがたい印象を残します。虹彩を描かない眼は、相手を見つめるためではなく、輪郭そのものを記憶に刻むための空白なのかもしれません。
長く伸びた首、アーモンド形の瞳、虚ろにも静かにも見える表情——モディリアーニの肖像画には、一目でそれとわかる独特の様式があります。同時代の画家たちが写実性や光の表現を追求する中で、モディリアーニはあえて対象を単純化し、様式化することで、モデル個人の内面をより強く浮かび上がらせようとしました。顔の輪郭を細く長く引き伸ばす手法は、アフリカの仮面彫刻や中世イタリアの宗教画から着想を得たとも言われ、写実とは異なる「様式による写実」とでも呼べるものです。
ここではまず、モンパルナスで彼が実際に描いた人々の肖像を並べました。「ジャンヌ・エビュテルヌ」は彼の伴侶であり、晩年の作品に繰り返し登場するモデルでもあります。「ポール・ギヨームの肖像」は、モディリアーニを支えた画商の一人を描いたもので、洒脱な佇まいの中に鋭い眼差しが宿ります。そして、アトリエに集った仲間たち——画家や詩人、モンパルナスの日常を共にした人々の肖像も並びます。同じ様式で描かれていながら、髪型や衣装、視線の向き、口元の表情といった細部に、一人ひとりの個性が確かに刻まれていることに気づいていただけるはずです。様式の統一と個の違い、その両方を同時に味わえるのが、このコーナーの見どころです。
出典 メトロポリタン美術館 Open Access/Wikimedia Commons