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タイムレス・ライブラリー

🍯 くまのプーさんの
おはなし

Winnie-the-Pooh — inspired tales

ほんのり甘い、百エーカーの森の物語

世界観:A.A. Milne(1926年、パブリックドメイン)
挿絵:E.H. Shepard(パブリックドメイン)
日本語テキスト:オリジナル創作

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百エーカーの森で目を覚ますプーさん

第一話

おなかがすいたプー

百エーカーの森の、ちょうどいい場所に、プーの家がありました。

玄関の上には「プーさんのいえ」と書いた木の板が掛かっていて、ドアはいつも少しだけ開いていました。

その朝、プーはベッドの中で目を覚ますと、おなかの中から小さな声が聞こえた気がしました。

「ぐ〜〜〜」

「ああ」とプーは言いました。「おなかがすいているんだね。それはたいへんだ」

プーはのそのそとベッドから起き上がり、食器棚の前に立って、ひとつひとつ棚を開けてみました。一段目——空っぽ。二段目——空っぽ。三段目には木の葉っぱが一枚だけ。

「はちみつが、ない」

プーはとても深刻な顔でそう言うと、椅子に座って少し考えました。プーはあまり長く考えるのは得意ではありませんでしたが、はちみつのこととなると話は別です。一所懸命に考えると、頭の中でぶんぶんという音がして、いい考えが浮かんできました。

「そうだ。どこかにはちみつがあるはずだ。なぜかって? ミツバチがいるからだよ。そしてミツバチがいるということは——はちみつがあるということだ!」

プーは満足そうにうなずいて、外に出かけることにしました。

森の小道を歩くプーとピグレット

第二話

ピグレットのさそい

プーが森の小道をてくてく歩いていると、生け垣のかげから、小さなピンク色の生き物がひょっこり顔を出しました。

ピグレットでした。

ピグレットは耳がとても大きくて、風が吹くたびに少しだけ飛びそうになるのが悩みでした。でも友達のそばにいると、それほど怖くありませんでした。

「や、プー! どこへいくの?」

「はちみつを探しにいくんだ」とプーは答えました。「一緒にいかないか?」

ピグレットは少し考えました。森の中はたまに怖いものが出るかもしれません。でも、プーが一緒なら——たぶん、きっと——大丈夫でしょう。

「いくよ!」

ピグレットは小さい足で、プーの隣にぴったりくっついて歩きはじめました。二人の足音が、ぽくぽく、ぽくぽくと、森に響きました。

「ね、プー」とピグレットは言いました。「大きなクマのこと、こわくない?」

「こわくない」とプーは言いました。「ぼくがクマだからね」

ピグレットはそれを聞いて、なるほどと思いました。

川のほとりでしっぽを探すプーとピグレット、イーヨー

第三話

イーヨーのしっぽ

イーヨーは川のほとりで、じっと立っていました。

ロバのイーヨーは、いつも少しだけしょんぼりしていました。でも、それが普通でした。なぜなら、しょんぼりしているのがイーヨーにはちょうどよかったからです。

「イーヨー、どうしたの?」とプーが声をかけました。

「どうもしない」とイーヨーは低い声で言いました。「ただ、ここにいるだけだよ。しっぽが、また落ちていたんだ」

プーは後ろを見ると、なるほど、イーヨーのおしりには何もついていませんでした。

「しっぽ、どこにあるの?」

「さあね」とイーヨーは言いました。「どこかに落ちたんだろうね。どうせみんな、落ちていくものだよ」

プーとピグレットは草むらを探しました。茂みをかき分け、石をひっくり返し、木の根のそばを調べると——ありました! ふわふわの灰色のしっぽが、枯れ葉の下にひっそり横たわっていました。

「あったよ、イーヨー!」とピグレットが叫びました。

イーヨーはぐるりと振り返ると、プーがしっぽをていねいにくっつけてくれるのをじっと待ちました。

「……ありがとう」と、イーヨーは小さく言いました。

しょんぼりした顔のまま、でも尻尾がゆらりと揺れました。それがイーヨーの、精一杯のうれしいでした。

プーの家を訪ねるティガー

第四話

ティガーのはじめて

ティガーが森にやってきたのは、みんながもうそろそろ眠ろうとしていた夜のことでした。

「おはよう! ぼくはティガーだよ! ティガーって最高なんだ!」

ティガーはぴょんぴょん跳ねながら、プーの家の扉を叩きました。しっぽがバネのようにびょんびょんして、じっとしていられないのです。

プーは眠そうな目をこすりながら、ドアを開けました。

「やあ」とプーは言いました。「誰?」

「ティガー! ティガーって最高なんだよ。ところで、何か食べるものはある? はちみつ?」

プーは大事にしていたはちみつのつぼを一つ出してきて、ティガーに差し出しました。

ティガーは大きくひとなめしました。

「……うーん」

もうひとなめ。

「……むむ」

「どう?」とプーが聞きました。

「ティガーははちみつは好きじゃないんだ!」とティガーは元気よく言いました。

「そうか」とプーは言って、はちみつをそっと取り返しました。

「でも、友達は好きだよ! プーも友達になってよ!」

プーはちょっと考えてから、うなずきました。はちみつを一口分減らさずに済んでよかった、と思いながら。

星の下で語り合うプーとクリストファー・ロビン

第五話

百エーカーの森のいちばん大切なもの

ある晩、プーはクリストファー・ロビンのそばに座って、空を見上げていました。星がたくさん出ていて、森は静かでした。

「ねえ、プー」とクリストファー・ロビンは言いました。「ぼくがどこかへ行っても、ずっと友達でいてくれる?」

プーは少し考えました。プーはあまり長く考えるのが得意ではありませんが、大切なことについては、ちゃんと考えます。

「もちろんだよ」とプーは言いました。「きみがどこへ行っても、ぼくはここにいるよ。百エーカーの森に。きみのことを思いながら」

クリストファー・ロビンはプーをぎゅっと抱きしめました。

「プーは、世界一いいクマだよ」

「そうかもしれない」とプーは言いました。「でも、はちみつがあれば、もう少しよくなるけどね」

クリストファー・ロビンは笑いました。プーも、少しだけ笑いました。

星の下で、二人はしばらくそのまま座っていました。百エーカーの森は、やさしく、静かで、いつもそこにありました。

(おわり)