kitagawa utamaro
婦女人相十品(ふじんにんそうじゅっぴん)および関連作
髪を直す女
高精細アーカイブ(4K相当ソース)を、拡大・パンでご覧ください。
手鏡を覗き込みながら髪の乱れを整える女性 手鏡を覗き込みながら髪の乱れを整える女性
作品について
手鏡を使い、入念に髪を整える仕草を描いた作品。うなじの美しさや指先の動きに、歌麿の美人画に対する執念が宿っています。
本図は、シリーズ『婦人人相学十体』(通称・婦女人相十体)の「髪すき」にあたる図として知られる、第2期——大首絵の黄金時代の名筆です。寛政期に編まれたこの連作は、職業と様式様々な「女の気品」を類型化し、当時の江戸の視線を一枚に結晶させました。総論における第二期の、内面と身体技法の両方に踏み込んだ美人画の到達を示す例としてお読みください。
美術散歩・喜多川歌麿(総論「時代とともに進化する美の変遷」) (作風の変遷の総論とあわせてお読みください)
鑑賞ガイド
鏡とうなじ、櫛の動きにフォーカスを当て、高精細ズームで線と摺りの交点を追ってください。
高精細ズーム
高精細ズームで確かめるべき三つのポイント
ページ上部の閲覧器で、ホイール拡大・ドラッグによるパンを活用し、以下の部位へ繰り返し近づけてください。解像度の差がそのまま摺りの奥行きとして伝わります。
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手鏡の縁と反射の暗示
硝子面の縁取り、指で挟む金属の薄さ、鏡に映り込むわずかな闇の気配を拡大すると、道具の冷たさと肌の温度の対比が立ち上がります。
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生え際と毛束の線描
天明期の写生で鍛えた毛の流れが、うなじから項へと吸い込まれるように描き分けられています。一本の線がどこで途切れ、どこで再接続するかを、最高倍率でお楽しみください。
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衿と腰の文様
十体連作ならではの衣の構成力が、衿の重なりと小さな柄のかすれとして現れます。三枚続で群像を見せる第三期作(針仕事や蚊帳の図など)との比較ではありませんが、単像のなかに日常生活の物語性が閉じ込められている点に、第三期へ至る布石を感じることもできるでしょう。
結び
家具の音楽のごとく透明なサティの旋律とともに、櫛の音まで聞こえてくるような静けさのなかで、一枚に集中してご覧ください。