kitagawa utamaro

婦女人相十品(ふじんにんそうじゅっぴん)および関連作

ポッピンを吹く娘

高精細アーカイブ(4K相当ソース)を、拡大・パンでご覧ください。

ドラッグでパン/ホイールで拡大

喜多川歌麿作、婦女人相十品よりビードロ(ポッピン)を吹く娘の大首絵。

作品について

ビードロを吹く愛らしい仕草を描いた、歌麿の最も有名な大首絵の一つ。

本図は、喜多川歌麿の黄金時代である第2期——大首絵の黄金時代(寛政前期・1790年代前半)を代表する傑作の一つです。全身像中心の美人画から、顔と胸元へ大胆に切り取る大首絵へと様式を転換した時期の到達点が、ここに静かに示されています。メインサイトの作者紹介で述べた「時代とともに進化する『美』の変遷」のうち、蔦屋重三郎との協業が花開いた第二期に位置づけられ、表情とわずかな仕草だけで内面の愛らしさを語るという、歌麿の観察眼の粋を一枚に集約しています。

美術散歩・喜多川歌麿(総論「時代とともに進化する美の変遷」) (作風の変遷の総論とあわせてお読みください)

鑑賞ガイド

本アーカイブの見どころは、高精細画像へ繰り返しズームしながら、次の三点を丁寧に追うことにあります。

高精細ズーム

高精細ズームで確かめるべき三つのポイント

ページ上部の閲覧器で、ホイール拡大・ドラッグによるパンを活用し、以下の部位へ繰り返し近づけてください。解像度の差がそのまま摺りの奥行きとして伝わります。

  1. 雲母摺(きらずり)の煌めき

    背景は、鈍く、しかし確かに光を返す質感で仕上げられています。デジタルアーカイブならではの解像度であれば、地の肌理と雲母の粒が織りなす微妙な輝きの差まで辿れます。拡大したうえで画面を少し傾け、反射の変化を楽しむと、摺師の意図がより身近に感じられるでしょう。

  2. 極細の線描

    髪の生え際を縁取る毛束の線、ポッピン(硝子の玩具)をすくい上げる指先の墨線は、いずれも極めて繊細です。天明期の写生で鍛えた眼と筆致が、大首絵において「内面の気配」へと昇華された証とお読みください。最高倍率で線の起筆と止めを見比べると、修練の深さがひとつひとつ判ります。

  3. 着物の透け感

    身につけた市松模様の着物では、微細な色の重なりと、下の色がわずかに透けて見えるような摺り分けが、軽やかな衣の体積を生んでいます。柄の区画の境目、濃淡の階調、肌との境界までズームでたどると、重ね摺りの美しさが立ち上がります。

結び

本展示空間では、エリック・サティの旋律を「家具の音楽」の静謐な情趣として添えています。サティの旋律とともに、江戸の粋がここに到達した極致を、音と併せて静かにご鑑賞ください。

画面のどこかをクリックすると、音量をゆっくり上げつつ環境音が始まります。