美意識の原則
意匠ノートに共通する判断の背骨です。 公開済みの意匠ノートが増え次第、事例へのリンクを掲載します。
原画に一筆も加えない
描かずに、編集する。 浮世絵シリーズ 浮世絵 再編集版 でも、切り出しと版・色の整理だけで再編集しています。
積み重ねを残す
Preserve what has accumulated
全部を作り直さない。長年の蓄積や、作家がかつて選んだ形を尊重する。
Web制作では、新しい技術に合わせて画面を一から描き直す選択がもてはやされます。しかし、作家や画廊にとって、ページの形そのものがサイトの顔になっていることがあります。閲覧者の記憶に残っている余白や見出しの置き方を捨てることは、作品の前にサイトのデザインを主役にしてしまうことと同義です。
積み重ねを残すとは、古いファイルやレイアウトを「恥ずかしいから消す」のではなく、何が依頼主と観客にとっての正解だったかを見極め、それを次の世代の技術の上に載せ直す態度です。
関連する公開済み意匠ノートはまだありません。
作品が主役
The work stays center stage
サイトの意匠は作品より前に出ない。余白・色・動きは作品のために使う。
画面に情報を詰め込むほど、訪問者の目は作品ではなく枠組みに向きます。色を足すほど、写真や絵のトーンと競合します。作品が主役であるとは、デザイナーの署名を消すことに近い判断です。
日本画や写真アーカイブのように、作品自体に余白や静けさがあるジャンルでは、ページ側の余白もその呼吸に合わせます。サイトは額縁に徹し、作品の視線を奪わないことを優先します。
関連する公開済み意匠ノートはまだありません。
静けさ
Quiet motion
動きは意味のあるところだけに使う。画面を騒がしくしない。
動くバナーや常時ループする演出は、一見「今どき」に見えます。しかし、作品鑑賞や長文の読書では、動きはノイズになります。静けさとは、動きを禁止することではなく、視線を次の段落や次の作品へ導くためにだけ動きを使うことです。
古いサイトに付いていた派手な切り替えを、現代の環境で再現する必要はありません。フェードやスクロール連動は、秒数とイージングを抑え、画面全体が揺れない範囲に収めます。
関連する公開済み意匠ノートはまだありません。
壊れにくさも美しさのうち
Durability is part of beauty
裏で動くプログラムを持たない構成。時間が経っても崩れず、狙われにくい。
サーバー上で毎回ページを組み立てる方式は、プラグイン更新のたびに表示が変わるリスクを伴います。公開時点でHTMLとして完成させ、配信する方式は、数年後も同じ見え方を保ちやすく、不要な攻撃面も減らせます。
壊れにくさは、保守契約の有無とは別の美意識です。依頼主が小さな更新を自分で行える余地を残しつつ、基盤は長く信頼できる形に置くことを指します。
関連する公開済み意匠ノートはまだありません。
読みやすさ
Readable type
文字の大きさ・行間・行の長さは、読む人の目に合わせる。
作品サイトでも、プロフィールや解説文は読まれます。書体の選択、本文のサイズ、行間、1行の文字数は、スマートフォンと大画面の両方で疲れない値に揃えます。装飾より、黙って読めることの方が、信頼につながります。
読みやすさは、デザインの「地味さ」と混同されがちですが、依頼主の言葉を正確に届けるための意匠です。見出しと本文の比率を固定し、更新時にも崩れないルールとして残します。
関連する公開済み意匠ノートはまだありません。