何年も前に作ったホームページを、そのまま使い続けている方は多いと思います。見た目に問題がなく、特に困ってもいなければ、手を入れる理由はないように感じるかもしれません。
ところが今、そうした「手を入れていないホームページ」が、改ざんや乗っ取りの被害に遭う例が増えています。この記事では、古いホームページが狙われる理由と、当方が基本にしている「静的サイト」という作り方、そしてその限界について、できるだけ平易にお伝えします。
古いホームページが狙われる理由
ホームページの改ざんは、大きな会社や有名な人だけの話ではありません。むしろ、何年も手を入れていない小さなサイトほど狙われやすいのが現状です。
攻撃の多くは、人が一件ずつ相手を選んで行うものではありません。プログラムがインターネット上のサイトを自動で次々と巡回し、古い弱点が残っているサイトを見つけ次第、入り込もうとします。知名度や規模は関係なく、「弱点が残っているかどうか」だけで選ばれてしまいます。
古いサイトに残りやすい弱点
裏で動くプログラムが古いまま
WordPressなど、PHPというプログラムで作られたホームページは、ページを表示するたびに裏でプログラムが動いています。このプログラムや、後から加えた追加機能(プラグイン)には、ときどき弱点が見つかります。弱点は更新によってふさがれますが、更新しない限り、そのまま残り続けます。
管理画面が外から見える
ホームページを編集するためのログイン画面がインターネット上に公開されていると、パスワードを総当たりで試される対象になります。短いパスワードや、他のサービスと同じパスワードを使っていると、突破される危険が高まります。
サーバーの設定やパスワードが当時のまま
制作当時に決めたファイル転送用のパスワードや、古いサーバーの設定が、見直されないまま使われていることがあります。
誰が管理しているのか分からない
制作者と連絡が取れない、保守の契約が切れている、といった理由で、問題が起きても誰も気づかないことがあります。
改ざんされると何が起きるか
改ざんというと、トップページが書き換えられるような目立つ被害を想像されるかもしれません。しかし実際には、見た目は何も変わらないまま、裏で書き換えが行われることが多くあります。
- 閲覧した人を、偽のショッピングサイトや詐欺のサイトへ自動で転送する
- 閲覧した人のパソコンに、ウイルスを送り込む
- 見覚えのない宣伝のページを、大量に追加される
つまり、自分のホームページが、訪れてくれた人に被害を与える踏み台にされてしまうおそれがあるのです。検索結果に「このサイトはハッキングされている可能性があります」と表示され、作家としての信用に関わることもあります。
今すぐできる確認
専門知識がなくても、次のことは確認できます。
- ホームページの最終更新はいつか
- ホームページを管理しているのは誰か。連絡は取れるか
- ドメイン(ホームページの住所)とサーバーの契約者は誰で、いつ更新が必要か
- 自分の名前で検索したとき、見覚えのないページが検索結果に出ていないか
一つでも分からないことがあれば、それが見直しのきっかけになります。
静的サイトという選択
当方が制作するホームページは、「静的サイト」という作り方を基本にしています。ページをあらかじめ完成した状態で用意しておき、表示するときに裏でプログラムを動かさない作り方です。
- 裏で動くプログラムがないため、プログラムの弱点を突く攻撃の多くが成り立ちません
- インターネット上に公開された管理画面がないため、ログイン画面への総当たりの対象になりません
- 世界中に配置された配信の仕組み(Cloudflare)から表示するため、表示も速くなります
更新が必要な部分だけ、外部の専用サービスから編集できるようにすることもできます。その場合も、公開しているホームページそのものは、裏でプログラムが動かない作りのままです。
それでも、リスクはゼロではありません
静的サイトにしても、すべての危険がなくなるわけではありません。
ドメインや配信サービスのアカウントが乗っ取られれば、ホームページは書き換えられてしまいます。そのため、アカウントのパスワードを強いものにし、二段階認証(パスワードに加えて、スマートフォンなどで確認する仕組み)を設定しておくことが大切です。お問い合わせフォームのように一部だけ動かす機能にも、作り方の注意が必要です。
「静的サイトだから絶対に安全」ということはありません。ただ、狙われやすい入口の多くを、最初からなくしておけることは確かです。
作品や記録を、安心して残すために
作家の作品、展覧会の記録、作家自身の言葉。長い時間をかけて積み重ねたものを載せたホームページだからこそ、壊されない形で残すことが大切です。
今のホームページをすべて作り直さなくても、見た目や構成を活かしたまま、作り方だけを変えることもできます。全部は作り直さないリニューアル
WordPressで作られたホームページについては、別の記事で詳しく取り上げています。/business/column/php-wordpress/